診療内容
睡眠時無呼吸症候群
いびきは睡眠時無呼吸のサイン
睡眠時無呼吸症候群は、文字通り寝ている間に何回も呼吸が止まる病気です。我が国における睡眠時無呼吸症候群の罹患者数は200~300万人を越えると言われています。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの多くは、いびきが認められます。
昼間の眠気を自覚される方もいますが、特に自覚がない方も多く、なかなか自分だけではわかりにくい病気です。周りの人から寝ている時のいびきや無呼吸を指摘されている方は、ぜひ睡眠時無呼吸症候群を診療する医療機関を受診しましょう。そして、ご家族などにいびきがひどい方や寝ている間に呼吸がしばしば止まる方がいたら、ぜひ受診を勧めてあげてください。

どうしていびき・無呼吸になるのか
睡眠時無呼吸症候群は大きくわけて「閉塞型」と「中枢型」の2種類あります。
●「閉塞型」の睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の患者さんのほとんどが、閉塞型の睡眠時無呼吸症候群です。
通常では、仰向けになって入眠しても鼻や口から入ってきた空気は滞りなくのどを通過して気管・肺に入ります。しかし、首周りの脂肪や舌根沈下などが原因となり、入眠するとのどが狭くなり、空気が通りにくくなることがあります。
この時、狭いのどを空気が通過しようとして抵抗が生じ、「いびき」が発生します。
さらに気道が完全に閉塞してしまうと「無呼吸」となります。

●「中枢型」の睡眠時無呼吸症候群
脳、神経、心臓の疾患が原因となり、筋肉の動きも含めて呼吸そのものが停止することで「無呼吸」となるタイプです。
*閉塞型と中枢型の両方の原因が認められる場合「混合型」と呼ばれています。
睡眠時無呼吸症候群のリスク
「いびきがうるさい」「睡眠時に呼吸が止まる」だけが、睡眠時無呼吸症候群の問題ではありません。
実は、睡眠時無呼吸症候群は高血圧症、脳卒中、狭心症、心筋梗塞など循環器疾患と密接な関係があることが明らかになっています。睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が、そうでない方に比べて高いことが分かっています。それだけでなく、糖尿病を悪化させたり、高血圧や不整脈の原因になったりすることも分かっています。
このように睡眠時無呼吸症候群は心臓や血管、代謝の病気の発症や悪化に広く関与している可能性が高く、睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで、突然死や循環器疾患、生活習慣病の悪化を予防することにつながります。
睡眠時無呼吸症候群患者さんの合併リスク(健常者と比べて)
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高血圧症:約2倍
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狭心症・心筋梗塞:2〜3倍
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慢性心不全:約2倍
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不整脈:2〜4倍
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脳卒中:約4倍
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糖尿病:2〜3倍
*循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン(循環器病の診断と治療に関するガイドライン2008-2009合同研究報告)Circ J74(Suppl. II). 963-1084, 2010.
睡眠時無呼吸症候群の検査の流れ
1:問診
いびきや日中の眠気、既往歴などについて質問いたしますので、ご自身の現在の状況をお答えください。
その他、必要に応じて採血や心電図、肺機能検査などを行うこともあります。
2:ご自宅にて睡眠の状態を検査
当院は検査キットを提供するZONEと連携しており、ご自宅にて睡眠時無呼吸症候群の検査を受けていただけます。


睡眠時無呼吸症候群の診断
睡眠時無呼吸症候群の重症度は、AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)で表し、一晩の睡眠を通して、1時間あたりの無呼吸や、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度をもとに診断していきます。
●AHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
●AHIが40以上で眠気など睡眠時無呼吸症候群の症状が明らかな場合、CPAP療法の対象となります。
*AHIが40未満の場合は、さらに精密検査(PSG検査)が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の治療「CPAP療法」
当院では経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)療法を提供しております。
CPAP療法は、鼻にマスクをあて、そこから空気を送りだすことで塞がっている気道を広げ、呼吸が出来るように改善をします。
*月1回の外来受診が必要です。
CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群の重症度基準を満たした患者さんに対し、保険診療としての治療が認められている治療法です。保険診療の条件として、月1回の受診が必要となります。
病気や治療状態の変化を見逃さないためにも、必ず月1回の外来受診をお願いいたします。
